小児矯正に関して一番寄せられる質問です。
皆さんがそう思われるのは仕方ありません。
なぜなら普段、歯科医院でおこなわれている子どもの矯正治療は、そのクリニックの先生が経験してきたことや学んできたものに大きく依存するからです。
そのため、先生によって言っていることが違うからといって、それぞれの先生の経験と知識に基づいた治療をしているのであって、一方が正しくて一方が間違っているということではありません。
小児矯正は現在進行形で色々な装置だったり治療法が生まれることが多く、ある程度治療法が確立している大人の矯正に比べると、私たち歯科医師の中でも決まった治療方法を定めることが難しいのです。
また、子どもの成長速度や歯の生え変わり時期、歯の大きさ・形、顎の大きさ等は子どもによってそれぞれ違うので全員に同じ治療をすること自体がそもそも困難であることも治療方針がバラバラになる原因の1つです。
現状は小児矯正でどこまで治療するのか(最終ゴールをどこにするのか)はクリニックによって様々です。
小児矯正のうちに治療を完了させる治療方針のクリニックもありますが、小児矯正(1期治療)後に続けて大人の矯正(2期治療)に移行する治療方針のクリニックがあります。
患者さんからしたら、どの先生の治療を受けるのがいいのか余計わからなくなると思いますので、下記に注意し、また参考にしてクリニック選びをしてみてください。
1.お子さんと似た歯並びの治療例を見ること
似た歯ならびの治療例を見れば、そのクリニックで治療した後の大体の治療結果の想像がつきやすくなります。
もちろん治療例と同じような結果がでるとは限りませんが、歯科医師である私が仮に患者さんの立場で歯科医院選びをするときには治療例を参考にすることを1番大事にします。
2.子どもの矯正(1期治療)の治療の最終ゴールはどこなのかを確認すること
1期治療が終わったときの歯並びの状態がどのようになるのか、具体的な改善点を確認してください。
例えば、
「歯並びは綺麗に揃っていて見た目は改善されるのかどうか」
「出っ歯は改善されるのか」
「受け口は改善されるのか」
※「顎を広げる床矯正で治療してくれるのか」
特に多い質問で、誤解されていらっしゃる方が多いのですが、顎を広げるからといって必ずしも歯並びやかみ合わせが改善する訳ではないということです。治療するお子さんの中には顎を広げる必要がないお子さんもいたり、床矯正は使い方を間違えればかみ合わせの悪化を招くことがあり、使う際には慎重になります。
矯正治療は顎を広げることが目的ではなく、あくまでも床矯正は手段の一つとお考え下さい。
3.大人の矯正(2期治療)に移行する可能性が高いか低いか確認すること
もちろん治療を開始した時点では大人の矯正に移行するかは断定できないことが多いのですが、移行しそうかしなさそうかは経験的に判断できますので先生に確認してみてください。もし大人の矯正に移行する可能性が高いと言われた場合には、1期治療ですべてが改善される可能性が低いということです。
4.実際に使っている装置の種類を見せてもらうこと
先述した通り、全員に同じ装置を使って治療するというのは考えづらいです。一人ひとりに合った治療をするためには必然的に扱う装置の種類が多くなりますので、装置の種類が複数あるか確認するのが良いでしょう。
クリニック選びで迷った時の確認事項まとめ
①自分の子と似た歯並びの治療例を見る
②具体的に何をどう改善してくれるのかを確認する
③大人の矯正に移行する可能性が高いか低いか確認する
④装置の種類が複数あるか確認する
小児矯正に限らず、医療は日々進歩しています。
納得して治療を受けられることを願っております。